日本トレイルランナーズ協会 第1回総会および公開ミーティング報告
▼2016年7月23日(土)、立正大学(東京都品川区)で日本トレイルランナーズ協会(JTRA)第1回総会を開き、以下の事項を審議・承認しました。
1)協会定款の承認 →定款はこちら
2)新人事案の承認:理事退任2名(大内、忠政)、新任4名(大塚、奥宮、中尾、宮地)
役員の新体制:会長(鏑木)、副会長(石川、三浦)、
常務理事(田中、千葉、中尾、福田、古田、松井、村越)
3)現時点までの今年度会計報告の承認
4)今年度(2017年3月まで)の事業計画の審議・承認
▼総会終了後、公開ミーティング「JTRAミーティング2016夏」を開催し、約50名が参加しました。鏑木会長からの事業計画案や、日本トレイルランニング協会(トレランJAPAN)との連携などについて、様々な報告と討論が行われました。
1)開会挨拶:石川弘樹副会長
副会長の石川です。昨日のテレビの放送にもあったように(7月22日NHK「特報首都圏」関東地方の放送)、現在トレイルランニングのレースもランナーの数も増え続けている。そんな中でトレイルランナーズ協会はこれから具体的に活動していく。この協会には多くの理事がいるが、現場の人が多い。私も選手をしながら大会運営をしている。そういう人が日本全国から集まり、これから必要なことを公平に考え、決めていく。上から目線ではなく皆さんの意見を聞きたいので、力を貸してください。
2) 事業計画発表:鏑木毅会長
この度、会長に就任した鏑木です。改めてよろしくお願いします。では「事業計画(案)」を元にトレイルランナーズ協会としてこれから何をすべきかをお話しします。
(事業計画案(案)を参照しながらお読みください)
①「大会ガイドライン」の作成(担当:大会ガイドライン委員会)
このガイドラインを作ることが当面最も重要。これはある意味トレイルランニングの憲法のようなものなので、我々だけで決めるのではなく、みなさんからのパブリックコメントを集めたい。大会はいま280ぐらいあり、多くの大会はしっかりと運営されているようだが、残念ながらそうでない大会もある。そうした中でガイドラインをしっかり作ることが重要。これは年内に作り上げ年明けから公表していく。
②「安全・マナーリーフレット」の作成(担当:安全・マナー向上委員会)
次に「安全・マナー啓発リーフレット」の作成。昨日の番組では「多くの人はマナーを守っている」と言っていたし、私も自分の目で見てそう感じるが、これから始める人にはマナーを知らない方もいるし一部には理解のない方もいる。基本的なマナーを伝えるためのリーフレットを作るが、作るだけでは意味がないのでウェブやメディアでちゃんと広めていく。
③「環境省への提言」(担当:自然保護・活用委員会/提言作成委員会)
去年環境省から出された指針は我々にとって大変重いものになっているが、行政から言われるだけでなくトレイルランナーからも提言をしていくことが大切。①で作成する大会ガイドラインを作る上でも環境省との調整は必要だし、対立するのではなくコミュニケーションをしっかりとっていきたい。
④「JTRA×MtSN共催セミナー」「トレイルランニングフォーラム2017」開催
山と渓谷社MtSN(マウンテンスポーツネットワーク)との共催でトレイルランニングに関するセミナーを開催。協会の理事が得意な分野のセミナーを行う。第1回(5月・山西&鏑木)、第2回(7月・渡邊)に続いて第3回(8月・村越)以降も継続していく。
また、今年1月に約300人を集めて開いた「トレイルランニングフォーラム」を来年の同じ時期(1月上旬)に開く予定。
⑤「会員用コンテンツ公開」(担当:広報・イメージアップ委員会)
協会ホームページの中に会員専用ページを作り、コンテンツを公開していく。
・「トレランジャーナル(仮)」全国の理事による各地のトレラン現状リポート
・「トレラン資料館(仮)」トレラン黎明期(2000年代初期)の専門誌の記事(名勝負・選手インタビューなど)をアーカイブ。日本のトレランの歩みを振り返る。
⑥「正会員・賛助会員募集」
まずこのミーティングの場で会員の受付をする。今後ホームページを改修し、広く会員を募集していく。
3)日本トレイルランニング協会(トレランJAPAN)との連携について
三浦務副会長
副会長に就任した三浦です。1月のフォーラムに参加された方はよくご存知と思うが、我々の協会と並行する形で「日本トレイルランニング会議(トレランJAPAN)」が準備を進めてきた。一見“協会乱立”のように思われるが決してそうではない。我々JTRAは環境省や東京都がトレランの指針を作ったりする中で、マナーや環境など目の前にある問題を解決していくために現場の人間が集まった団体。このような組織や活動には慣れていないが、横のつながりはあるので全国の仲間が集まった。
その一方でトレランJAPANは、日本山岳協会をベースに、トレイルランニングが他のスポーツと同じように日本の体育行政の中で地位を確立していくため、公的な「中央競技団体」を作っていくことを目指していた。
具体的な手法や取り組むべき問題に若干の違いがあるが、これは車の両輪のようなもの。究極的に目指すのはこのスポーツの健全発展ということで同じなので、将来的な合流を目指し、人事交流もしている。前回、こちらの3人(山西・石川・三浦)が評議員として先方に入り、今回は宮地さんに理事として入ってもらった。当面、我々は「大会ガイドライン」や「環境対策」を研究しているが、競技スポーツとしてのルールや指導員などについては宮地さんたちに進めていただく、というように分担していきたい。
宮地由文理事
これまで「日本トレイルランニング会議」だったが、公式団体とするために「一般財団法人日本トレイルランニング協会」として登記する。愛称「トレランJAPAN」は継続。
トレイルランニングという呼び方は10年ほど前からだが、その前は山岳競走、国体では縦走競技として行われていた。山を走る競技を広げようと24年前からハセツネを始めたが、競技スポーツとして確立するために、7年前に日本山岳協会の中に「トレイルランニング小委員会」を作り「競技規則」「指導員規定」「障害者ルール」などを考えてきた。
現在重要事項として検討しているのはドーピング。世界的にも競技として認められるためにはドーピング検査を行えるようにしなければならない。しかしドーピングには非常にお金がかかるので、それぞれの大会で独自に行うのは不可能。国から補助金が出るが、そのためには公式な中央競技団体がなければならない。
会場から質問・意見
Q:2つの協会は最終的に一緒になることが前提なのか?
三浦:そうです。そんなに遠い先の話ではないかもしれない。しかしそれぞれが準備をしてきたことがあるので、その基礎を固めてから合流したい。
Q:名称が似ていてまぎらわしいと思う
三浦:それは確かにその通り。申し訳ないがもう少し待っていてほしい。愛称は「JTRA(ランナーズ協会)」と「トレランJAPAN(ランニング協会)」で区別している。
4)各地の現状報告
TRAには日本各地で大会主催やクラブ活動をする理事がいる。このミーティングでは。山梨県の松井裕美理事と北海道の武田渉理事から各地の現状について報告をした。
「スリーピークス八ヶ岳トレイル」の事務局を担当している松井理事は、スリーピークスの大会独自に「特別環境保護地区エリア」を設定したこと(http://trail38.com/about/page/img/course_map.pdf)、そして大会2週間前に行政からコース変更の要請があり、急遽対応したことを報告しました。
「北海道トレイルランニングクラブ」を運営する武田理事は、札幌郊外でトレイルランナーが増えている藻岩山に7月、トレイルランナーに対する注意の張り紙が張り出されたこと、そして札幌市役所と直接対話を始めていることについて報告しました。
こちらのブログも参照してください。http://blog.livedoor.jp/htrc/archives/8632210.html#comments
※これらの話題については、会員専用コンテンツ「トレランジャーナル(仮)」がスタートしたらまた詳しく書いてもらう予定です。
5)閉会挨拶:山西哲郎理事
自然の中を走っていても、個人で走っていても、そこは社会である。アリストテレスは「人間は社会的動物である」と言った。トレイルランニングにも社会性が大切だということをこの協会はアピールしていきたい。
※ JTRAの発足時以来、山西理事は「代表理事」として協会を代表していましたが、この度の新体制で鏑木会長に代表の座を譲り、一理事として活動を続けます。
※ 閉会後、会場に集まった皆さんに対して日本トレイルランナーズ協会への入会受付をし、21名の方が入会しました。近日中にホームページを改修し、広く会員の募集を始める予定です。もうしばらくお待ち下さい。
※ このミーティングの後、近くの居酒屋で懇親会が開かれ、トレランに関する熱い話し合いが遅くまで続きました。次の機会にはまた多くのみなさんのご参加をお待ちしています。